HOMEreading bookThe Tale of Miminashi-Hoichi

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耳なし芳一 Miminashi-Hoichi/日本の物語  
  成立年:1894年 - 1904年/作者:小泉八雲 (パトリック・ラフカディオ・ハーン)

 参考:(福娘童話集きょうの日本昔話・コモンズ紙芝居日記・英語で本三昧)

第1章

耳なし芳一


むかしむかし、下関(しものせき→山口県)に、阿弥陀寺(あみだじ→真言宗の寺)というお寺がありました。
その寺に、芳一(ほういち)という、びわ弾きがいました。
芳一は幼い頃から目が不自由だったために、びわの弾き語りをしこまれて、まだほんの若者ながら、その芸は師匠の和尚(おしょう)さんをしのぐほどになっていました。
阿弥陀寺の和尚さんは、そんな芳一の才能(さいのう)を見込んで、寺に引き取ったのでした。


芳一は源平(げんぺい)の物語を語るのが得意で、とくに、壇ノ浦(だんのうら)の合戦のくだりのところでは、その真にせまった語り口に、誰一人、涙をさそわれない者はいなかったそうです。
そのむかし、壇ノ浦で源氏と平家の長い長い争いの最後の決戦が行われ、戦いに破れた平家一門は女や子どもにいたるまで、安徳天皇(あんとくてんのう)として知られている幼帝(ようてい)もろとも、ことごとく海の底に沈んでしまいました。
このとても悲しい平家の最後の戦いを語ったものが、壇ノ浦の合戦のくだりなのです。

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