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声を出して一緒に読んでみましょう

舌切り雀 Shitakiri suzume/日本の物語   言い伝えによる物語/作者:不明
 参考:(青空文庫)作成 楠山正雄

第2章


「この舌がそんな悪さをしたのか!」
すずめの子の口を無理に開けさせて、おばあさんは、小さな舌をはさみでちょん切ってしまいました。
「いたい、いたい・・・」
すずめの子は悲しそうな声で、鳴きながら飛んでいきました。
夕方になり、おじいさんがしばを背負って山から帰ってくると、かごの中にすずめの子はもういません。
「おばあさん、すずめはどこへ行ったろう」
と、おじいさんが聞きますと、
「あいつは私の大事なのりをなめたから、舌を切って追い出してしまいましたよ」
おばあさんは平気な顔をして答えました。
「なんてかわいそうなことを」
舌を切られたすずめの子に、おじいさんは悪いことをしたと思いました。


あくる日、
おじいさんは、すずめの子が舌を切られてどこへ行ったか心配でたまらず、夜が明けるとすぐに出かけていきました。 道々杖をつき、

舌切りすずめ
お宿はどこだ
ちゅんちゅんちゅん

と呼びながら、あてもなくたずね歩きました。
野を越え山を越え、大きなやぶのある所へ出ると、やぶの中から声が聞こえました。

舌切りすずめ
お宿はここよ
ちゅんちゅんちゅん

おじいさんが喜んで声のするほうへ歩いていくと、やがてやぶの陰に小さな赤い家が見え、舌を切られたすずめの子が門をあけて、おじいさんを待っていました。

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